あいしてる 改札 わかれみち/容子
わかれみち夕陽が君を支配する今日ほど夕陽を妬んだ日はない
落胆と転がる小石と空の雲蟻の巣すずめ手をつなぐ最後
焼け爛れ燃えゆく西日吸い込めばわたしに残る君は焦げるか
ままごとの続きとはいかぬ恋人という名の役を脱いだのだから
はぐれぬと掴み続けたシャツの裾一年余りの時間の染み跡
流れ雲二人の隙間に一片の形保てぬ想いがひらり
戯れぬことばとことばすれ違い駅前交差点にて塵と化す
さよならと二度とは逢えぬ君を背にJR大宮駅の改札を抜ける
駆け込み乗車ホームに駆け寄る君の幻白線越えれず
あいしてる「あ」から始めた二人には最後にわかれ「わ」「を」「ん」幕降りる
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