ブラックコーヒー/ヤックる
日の暮れきったアパート
紙コップに注いだブラックコーヒー
熱くて舌を火傷する 飲めない
自分の中で
いつからか ずっと暴れる黒いナニカ
叫びだしたい 吐き出したい
かさを増していく紙コップ
衝動にかられ街に飛び出すと
街行くものは みんな黒いナニカを
手にしていた そしてそれを 飲んでいた
でも自分の黒いナニカは
いちばん汚く そして 黒い
なにより その黒はおいしくない
街中の「正しい」黒から逃げ
たどり着いた 暗闇のアパート
そこでひたすら 自分を待ち続けていたもの
ただ冷え切った ブラックコーヒー
戻る 編 削 Point(0)