理屈っぽい僕が愛について思うこと/伊藤洋
ビッグバンの揺らぎがもたらした、宇宙の隅の小さな星で
アミノ酸の複合体である僕等が愛を語る
いやこんな話はもう止めようか
窒素と酸素に水素に炭素
君の体を構成する元素たち
その一粒一粒を僕の指で撫ぜよう
君のことを思うたび
脳内で合成されるエンドルフィンが
僕に恍惚を与えてくれる
僕はやはり理屈っぽいようだ
宇宙は少しずつ冷えてゆき
いずれ死に絶えるこの星の生命
残せるものは何もないからこそ
今日という日に、君に会えた幸せをかみ締めた
僕等の心に暖かな火が灯り
宇宙はその分少しだけ、暖まったようだった
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