どこにでもある話 1/いとう
 



これは居酒屋で友人から聞いた話
というより友人の話
その当時つきあっていた彼女に彼は夢中で
まだ若かったけれど 結婚まで考えていた
今の彼は平気で二股三股かけて
平気で女を捨てる奴なのだけれど
――ちなみに彼のそういうところは大嫌いだけれど
そんなことで友情にキズはつかない
それはただ、見解の、生き方の相違に過ぎない――
その当時の彼は純粋で
そんなこと全然できなかったと言う
本当のところはわからないが
とりあえず
人の言うことは素直に信じることにしている
自分を信じてもらうためにも

ちょっと話がそれた

彼が言うには
ある日突然彼女の態度が変
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