遠ざかる、向日葵の花/
服部 剛
ガラス窓の外にはすでに
手の届かない場所に向日葵(ひまわり)が
ほほえみを 風にくずして ゆれている
若き日のひとすじな愛の光を
遠い昔へ葬った者の
濁(にご)った瞳に消えることない
一輪の けなげな 向日葵の 残像
ガラス窓の向こうに
小さく
遠ざかる
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