やきそばパンはいかにしてなくなり、夏はどのように始まったか/Monk
 

 
 
「さて行こうか」
「いらないんだったらちょうだい」
 
 
 チサがやきそばパンをひったくってパクッとかじった
 
 
「あ」
「うん、おいしい」
「あ」
「食べられるときに食べておかないとこういうことになるのよ」
 
 
 さっさと歩いていくチサ
 ぴゅー、とまた風が吹いたけど
 スカートの端はしっかりと手で押さえられていた
 
 くやしいんだかうれしいんだか
 なんだこりゃ
 ゴチャゴチャだ、もう
 
 
 そんなふうにして夏は始まった


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