投影/
冴
道端で咲いている花を
力一杯に踏み潰してしまいたい衝動に駆られるとき
臆病なわたしの足は頑なに地面を離れない
だから、その代わりに思い描く
茎が折れ
花弁が散り
アスファルトにべったりと押し付けられた無残な彼女の姿を
やがて土へとかえる彼女の姿を
そして、その途中にときどき
彼女とわたしが入れ替わって少し安心したわたしは
ごめんなさいと呟いて
足早にその場をあとにする
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