空っぽの郵便受けとラブレターをのせたロケット/伊藤洋
 
いつもより少し日が暮れるのが早い気がして
つたの絡まった郵便受けをのぞくと
少し錆びた箱の中には、もう秋が来ていた

慌てた僕は、街を見下ろす公園に行き
ペットボトルのロケットにラブレターを入れると
夕焼けよりも美しい金星にむけて打ち上げた

それからブランコにのって、君の家のほうを見ていた
家々にあかりが灯るたび、ブランコをすこしずつこいでゆくと
メトロノームのような僕のリズムが
君への希望と重なるような気がした

そしてブランコを勢い良く飛び出して
秋の空を覆うガラス瓶の底をこえたら
そのままバタフライで泳いでいこうと思った
君のところにたどり着くまで

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