油蝉/あおば
でる
谷口さんが居なくなり15年たちました
無邪気な犬達の遊ぶ姿も無くなって
残された人たちは忙しい現在を
慎ましく過ごしているから
谷口さんの姿も犬達のはしゃぐ声も
走る姿も見ることがなくなった
谷口さんちの前にいってみる
百日紅が咲いて緑の壁に
油蝉の声が反射する残暑の中
西日を浴びて明るく光っていた
谷口さんはのんびり外眺め
微笑してから散歩にでかける
こんにちはの挨拶はいつも
礼儀正しく気持がよい
ゆったりと今日も
谷口さんが歩いていく
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作2000/08/17
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