露骨な移ろい/A道化
 






そして、土から緑が涸れてゆく
わたしは、思わず肌に手をやる


光源を振りかざして追い立てていたのは誰? 何?
垂直に垂直に萌え切った向日葵が
黒焦げになってまで凝視したものは?
嗚呼、夏が、失踪の支度の手始めとして
いつの間にか、著しく著しく
向日葵を棄てたようだよ


そして、舗道の白線が嗄れてゆく
わたしは、思わず喉に手をやる


手を叩いて囃していたのは誰? 何?
杭と杭との間、連鎖的に縊れた鎖がたわみ
その影の癒着した畑の土は先んじて錆び、先んじて暮れ
夜が次々と、次々と、嗚呼、夜が
錆びと暮れ始めの古い匂いに惹かれた
黒虫の群れの様だよ



2005.8.20.
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