ゼリー/待針夢子
 
でもこの部屋でなら
見えないかたちがあるような気がします
縋ることを赦される空気があるのです

この人の腕と私の首の隙間をぴったりと埋める


カルキの匂いのするゼリー


寝返りをうったら蒸発してしまいそうで
息を殺して足を折り曲げました
やたら有象に執着していても
結局はそんなにも
かたちのないものを切望している自分が
惨めで無様でたまりませんでした
愛情や期待を素直に欲しがれる人に

なりたい




君の高い体温だけが私を真夜中のプールからすくいあげる



(今はまだそんな女々しい希望)



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