廻りゆく生命の環/伊藤洋
 
隣りの君は、今日何度目かのオルガスムに達して
そのまま眠ってしまったのか、気を失ってしまったのか
僕は今日まだ一度も射精をしていない半立ちのペニスからコンドームを取ると
女性の深い連続的なオルガスムは、宗教家が悟りを開く瞬間の脳内体験と似ていると
どっかで読んだくだらない雑誌の記事を思い出して
でも、確かに君の寝顔はマリアか釈迦如来のような慈悲をたたえていると思った

君の髪にそっとキスをした

僕等男は、我慢した小便を出すようにしか、射精できず
そのわずか数秒に、宇宙を感じるようなこともなく
自然から疎外され、母なるものからも切り離されて
なすこともなく死の恐怖におびえ続
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