牛丼屋にて/服部 剛
 
仕事を教え
細身のおばちゃん店長はてきぱきと
お客さんに牛丼を運んでいる隙間に
ちらっと優しいまなざしで
厨房の二人に目をやる

細身のおばちゃんを中心に
声をかけ合いながら働く三人を見ていると
うっすら湯気を昇らせて運ばれてきた牛丼は
なぜかいつもより美味しくなった 

丼を空にして

「ごあいそうお願いします」

と席を立ち

細身のおばちゃんに

( この店はいい雰囲気ですね ) 

とは恥ずかしくて言えなかった言葉の代わりに

「美味しかったです、ごちそうさま」

と言い残し

「ありがとうございました!」

という細身のおばちゃん
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