牛丼屋にて/服部 剛
晩ご飯を食べようと牛丼屋のドアを開くと
レジの横で店長のおばちゃんが
「生活の重荷」を背負うように細身の背中を屈(かが)め
書類を睨(にら)み何かを書き込んでいた
厨房では新入りの眼鏡をかけた女の子が
おぼつかない手つきで
丼(どんぶり)に入ったご飯の上に汁の滴(したた)る牛を盛っている
慌ただしく働く日中の不器用な自分の姿を見るようで
カウンターに腰掛けておなかを空(す)かせ
牛丼が運ばれるのを待つ僕は
( がんばれ・・・がんばれ・・・ )
と声の無い声援を女の子に送る
毎日牛丼を食べてそうな太った青年が
隣で丁寧に仕事
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