昼休みのラーメン屋にて 〜ありんこ営業マンの夏〜/服部 剛
今日も額に汗を滲ませて
門前払いは覚悟の上
蝉の鳴き声しか聞こえない
住宅地のあちらこちらを歩く私は一匹のありんこ
無数のピンポンを押して
ようやく玄関のドアは開いて
満面の笑みと話術とサービスを繰り出し
オフィスの営業グラフが落ち込まぬよう
くどいたお客さんの喜ぶ顔を見れるよう
額の汗をハンカチで拭いつつ
一匹のありんこは今日もゆく
昼休みのラーメン屋でひと息ついて
しょうゆラーメンを待つ間
財布から給料明細取り出して
(日々ノ地道ナ仕事ハ果タシテ評価サレテイルノダロウカ・・・)
と声も無くひとりごちては
こんでいてなかなか来ないラーメンを待ちわび
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