祐介と沙弥香(一応恋人同士)/
 
るだけで





らしいこと、ひとつしていないけれど
しいて言うならば、
居心地の良さに、ついつい住みついてしまった
野良猫同士


そのうち、どちらかが
情熱的な恋愛に目覚める相手に巡り遭えたなら
夢見がちに飛び立ち、それでも
ホッとひといき、つく為に
取り止めもなくふらりと立ち寄って
気が向けば
求め
またひとつ、指先を拾うかのようにキスをして
手紙をポストに投函する感覚で
コトン、って響きで

居残るも居なくなるのも、自由




でも、きっと
還暦を迎える頃には
溜まった手紙を、郵便やさんが
届けに来てくれる

拝啓、祐介様。
拝啓、沙弥香様。



別に、住所不明で戻って来たっていい
その時には、静かに
あの頃の2人を思い浮かべられるから
眠るように読み耽り
そのまま、天に召されればいい





只、愛しい。
存在、

愛しいのだ。






貴方じゃない。 君じゃ、ない。


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