かなしみの島/八月のさかな
しあわせをしりたいとき
かなしみの真ん中に座る
つめたい池にうかぶちいさな小島で
月を抱くようにみあげる
うたをうたうことも
愛をささやくことも
記憶を掘り返すことも
夢をえがくことも
夜をこわがることも
そしてついには
涙をながすことさえわすれて
しあわせを恋うの
かたちなきものとも知らず
願っても願ってもとどかない
手をのばしても触れることなどかなわない
いつしか周りを埋め尽くす絶望を抱きしめながら
鈴の音をきくの
そうやってめざめた宵床は
冷えすぎた部屋の空気すら いとおしくおもえて
わたしはようやく
しあわせを知るの
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