浦島太郎ちゃん/みもる
薄暗い蛍光灯の光をあびて
シルバーのリングが色褪せている
長い年月
狭い部屋にひきこもっていて
時間を止めようとしたはずの僕が
いつの間にかとり残されている
友人はすでに家族をつくり
もう一人で会ってくれることはない
見たこともない鉄の塊が
猛スピードで行き来し
街は空を覆うほど大きくなった
僕は何もかも信じられなくて
何度も目をこする
太陽の下で
シルバーのリングはまぶしく
光っていた
色褪せたのは
指輪なんかじゃなく
僕の瞳のほう
湧き上がる涙が
わずかに
セピアの視界を導いて
今日から僕は
外に出よう
置き忘れた時間を
太陽と一緒に
探し出すために
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