てるてるぼうず    /野島せりか
 
雨あがりの朝 久しぶりに生活を離れて美容院へ行くと 白い布を纏い私はてるてるぼうずになった
若い男に首を委ね お湯加減はいかがと聞かれて大丈夫ですと答える
洗われてゆく髪・・・シャンプーも香りが選べるようになったなんてね
彼の指が頭にめり込んで地肌がジワジワしてくると 耳たぶについた泡を指で流される
あっ と声をあげたかどうか 顔から落ちそうになるガーゼをさっと直す
   ― カットして、まっすぐブローをして下さいね―
   ― 私の髪 直毛なんだけれど、襟足がはねてくるのが、やっかいなのよ―
ありったけの注文をする
そして まくしたてるように女性誌を読み 首が疲れて顔をあげると鏡
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