さんずい河/
エズミ
せせらぎに、眼は吸い寄せられ
覗きこめば
透明が、流れの奥行きへと手招く。
身を浸すと
視界のさきに、青磁いろの無音がひろがり
ありえない深さが
いくつもの巨岩を抱えていた。
水(み)の面(も)と底のあわいのかなたへ
風に嬲られる揚羽蝶のように
グランドピアノが横転しながら
泳いでいった。
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