空の子/ヤギ
て
ぼうっと街を歩きました
人々は黙々とすれ違います
だれも空を見ていません
夕方になりました
沈もうとする太陽が
並び立つビルを照らしています
夕陽は窓ガラスに反射しています
「とてもきれいだ
…あのビルの光と同じように、人や、そして私を照らす光も、ほんの少しだけど空の向こうへ返っていく
光は同じ」
そのままふと考えました
「もしも、何にも疑わなくていいとしたらどうだろう
伸ばした手はだれも傷つけなくて
人がかけてくれる言葉は優しさからで
目と耳を塞いで口を閉じていても、心の中でだれかと幸せを願い合える
それはなんて温かい世界だろう
夢のよう
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