月夜の散歩/服部 剛
ふらふらと酔っ払いの千鳥足
さみしがり屋のピエロは口笛吹いて
今宵も月夜の道を歩いています
膝を落とし 手を差しのべ 愛を乞う
寒がりな裸の心を胸に潜(ひそ)めて
夜空に閃く流星の如き
愛しき君の胸に届かぬ想い
ピエロは黒い目尻を光らせ星空を仰ぎ
もし この世のどこかに
酔いどれをみつめてくれる物好きがいたら
強く抱きしめたいと思った
ピエロは愛する女(ひと)の影を追いかけて
他の誰かはピエロの影を追いかけて
互いの影はいつも
誰もが夢を見る頃に
人知れぬ深夜の道の四つ角ですれ違っては
闇の静寂(しじま)に消えてゆく
月夜の道で独り立ち止まるピエロ
ひろげた両手には
いつもつかみ損ねる愛の幻
仰いだ夜空には
眠れる街を
只煌々(ただこうこう)と淡い光で包む満月
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