終焉の祝砲/紫音
飛散する朱珠の滴がセピア色の世界を染めていく
刺激過剰で神経麻痺になった鳥の黒い羽が
白く眩い光の矢に貫かれて散っていく
辱められた脳髄の片隅が
ちりちりと焼けるように甘く生臭く香り
視線の端に見えた十字の木切れを踏み砕く
一面の砂丘に顔を落とし
吸い取られていく水分に魂が干乾びていく
さあ
両手を広げて
さあ
両手を上に上げて
シリアルナンバーが刻まれた弾丸が
その胸を打ち抜くから
鈍く煌きながら空を切り裂いて
その胸を打ち砕くから
小さな手で
小さな足で
小さな顔で
何を掴む
何を踏みしめる
何を刻み込む
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