雨の中で/
フォマルハウト
空から落ちてくる
やさしいものたちへ
こうしていると
鮮やかに蘇るのは、きっと
傘を忘れ
唇を噛んで
トボトボ歩いた幼い日
胸を弾ませ
両手をかざして
友と駆けた青春の日
今日も同じ冷たさで
今日も同じ圧力で
わたしの全身に落ちてくる
美しい何万の雫たち
願わくは
途切れることなく
わたしを濡らして
この心から
この身体から
流れ出すのは
あのひとのまぼろし
わたしの涙が枯れるころ
鮮やかな
七色の虹の弧で
あたらしい明日を描いてみせて
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