しらない/
竹節一二三
しらない をおいかけたら
からかうように空をすべった
梅雨のあいまの明るい風に
しらない しらないと
はしって逃げた
いつだって
しらない は遠く
つかめそうな距離でも
生卵のように つるんと
逃げてしまう
一本だけ青緑に染めた爪でも
つかまえることは できない
夢の中でも
しらない を追いかける
わたしのものにはならない
しらない は笑いながら
わたしの中に きえてった
もう つかまえられない
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