バランス/望月 ゆき
 
 平均台の上を歩くみたいに、生きてる
 両の手を横にのばして、バランスをとる
 あせってはだめ
 はしるなんて、なおさら
 足もとばかり、見ている
 けど、前を向いたほうがキレイだってことは、知ってる
 まだ、前を向けるほど、上手に生きれてない
 このごろじゃあ
 つま先から3歩分ほど向こうを見ることくらいならできるようになった
 すべて、そんなことからはじまるのだから
 それでよし、としている
 ときどき、風に揺らされる
 揺らされるときは、それにまかせて揺れよう
 受け止めるということ
 足は、止めていればいい
 風をよけて早足になってはだめ
 簡単なことのようで
 それは案外、難しい
 平均台はなかなか終わりがみえない
 それを受け止めて
 両の手はのばしたまま
 バランス
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