透明の中で/フォマルハウト
 
あの日から
わたしのからだは
透明なゼリーに
くるまれていて
それはずっと
あなたの温度を保っている

その感触は
やさしくて あたたかで ぷるるん

いつまでも
その中にいてはいけない気がして
ある日
抜け出そうともがいてみたら
それはますます皮膚に吸着して
永遠にわたしを閉じ込めた

だから今も
息苦しいあなたの温度の中で
わたしはひとり生きている


戻る   Point(20)