天の川に架かる橋の上で/服部 剛
 
  出逢える歓びがありますように 」

瞳を閉じて 両手を合わせ
子供の気持でお祈りすると
世の人々に顔を見せることの無い
「宇宙(そら)の誰か」は夜空に微笑(ほほえ)み
満天の星空は煌(きらめ)き始める

今頃Rおばあちゃんは独りの部屋で口をあけて
寂しさを忘れた寝顔で眠っているだろう

老人ホームの静まり返った部屋に小さく響く古時計の音

  ちっく たっく ちっく たっく ・・・・・・・ 

宇宙の全ての星々が
織姫と彦星の天の川での再会を祝福して瞬く七夕の夜へと
時間(とき)の川は確実に流れ

床に広げた紙に絵を描き終えた僕は睡魔におそわれ
あぐらをかいて座ったまま眠りに落ちる一時(ひととき)の夢の中に
浮かぶ 君の 面影が 天の川に架けられた橋を渡って
ゆっくりこちらへ 歩いてくる





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