旅先の夜の灯火/服部 剛
3歳の姪(めい)が
遠視矯正めがねを初めてかけて
鏡に映る見慣れない顔とにらめっこ
「似合うよ」
後ろから見守るママが言うと
にっ と微笑(ほほえ)む君の目は
人よりもちょっとピントが合わない
30歳の僕は
大人になるにつれて
気付いたら曲がりくねった道の只中で
裸眼なのになぜかピントが合わなくなって
人の心もぼやけて見えて
すっきりとした一本道が見える
視力矯正めがねを街中探し歩いても
どこにも売っていやしない
レンズの向こうに見える「未来の君」は
陽の光をそそがれながら胸を張り
歩み続けているだろうか・・・?
夜の闇にうず
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