宛先/船田 仰
尻尾を飲み込んだ宛先を
今朝の地下鉄で見かけた
つまさきを決めたぼくの頭から
熱だ
改行してばっかりで
虫刺され、が、かゆい
おおむね眠たげな太陽を蹴散らすほど
思い切ってもなく
階段のすみ、これからを話す
きみの声、の、裏のやわらかいやわらかいくるしみ
切符を拝見
片足で乗り込んだ部屋の
嘘ばっかり、を
丸め込んで夕焼けに埋めた
こころぼそく、声、電波の向こうで
誰も確信してはいない
だんだん減速する計算ばっかり、が
ぼくを、ねえ
ねえー
ゆうべ賢くなった気がしたのに
もう息継ぎが出来てない
尻尾を飲み込んだ宛先が
足元で枯れている
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