悲しみの輪郭/
フォマルハウト
悲しみが生まれた頃は
見えないものなのです
それは
徐々に姿を現すのです
時間が経つにつれ
小さくなることはありません
同等の質量を維持したまま
心の真ん中に居座り続けます
やがてそれは
涙のベールを全て脱ぎ捨て
忽然と浮かび上がるのです
そのとき人は始めて
失ったものの大きさと
未来の時間を生きる困難を思い知り
ただ蒼く遠い空を仰ぎ見るのです
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