『Alice』/川村 透
カ、デ。
舌ハことばヲサエズルノカソレトモ、サエギルノカ、咀嚼スル声、凍鶴ノ音色。
太くて黒くて巨きくてイトオシクテという記号にツキウゴカサレ
手。
女は舌で僕の石膏の体に刺青を彫り込んでゆく、夜の国を。
河の、ヨウナモノ、ノナカ、デ、女は、
僕の腕の切断面から乳首まで肋骨の円弧に沿ってひきつれた傷跡めいた鉄道の軌条
みたいに彫り込まれたピンク色の、そのコトバを、さえずるように、読む。
Aliceと書いてアリサと読むの、
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