春の日差しを受ける公園の片隅で/紫音
 
全てが相対化していくメタリックブルーの記憶で
路地脇にひょっこり顔を出した花を印字してみる
それは
夜光虫が見上げる月に似て
ぼんやりとした輪郭の白さだけ
が鮮烈に刺激する
心を平準化していく作用の中で
漏れ聞こえてくる音程の外れた歌声に似て
大事なものを全て置き去りにしたものだけ
が強烈に風化する
駆け足で絶対化していくワインレッドの精神で
車窓の外にひっそり佇む高圧電線の影をコピーしてみる
それは
向日葵が見上げる朝に似て
あたたかい陽光の鋭さだけ
が激烈に狙撃する
視界を高分化していく過程の中で
踏み超えていく射程の狂った射的に似て
大切なものを努めて忘れてしまったものだけ
が熾烈に純化する
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