饒舌冗長を誘発する沈黙/あおば
沈黙は金と言われると
キンモクセイが
よく匂ったなと
隣家の垣根を思い出す
隣家の姉御は器量好しで
少しつんとしていたが
美人だから許される範囲
少し年上だから
黙って
じろじろ見ていても怒られない
なぜだろうと考えなくても分かる
関係ないからである
年頃になると
隣家の姉御は
嫁に行き
親も居なくなり
いまでは誰も住まない
オンボロの
空き家になっている
垣根は
安物の万年塀に変わり
年がら年中陰気な色で
通りすがりに
だれか帰っていないかと
じろじろ眺めているのは
私だけだろうと思う
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タイトルは「奇天烈デモクラシー」より
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