ゼンマイ仕掛けの飛行機が/yuma
 

戦車の脇をすり抜けてチョロQがせわしなく逃げ回る。
逃げ惑う人々の中にはきっと正義のヒーローや怪人だって混じってるんだろう。
抗菌使用には菌はおろかライダーだってショッカーだってかなわないんだ。
(なんならスパイダーマンだって。)
電子音が鳴り響く。
超合金と銘打たれたヒーローが待たせたなとばかりに秘密基地から現れる。
きっとあの秘密基地は「公然の秘密」なんだろうな。と思う。
可哀想に悪の秘密結社も見てみぬ振りで大変だ。
ヒーローは何時だって卑怯なほどの奇跡と偶然が味方する。
喩え怪獣が放射能を放ってもそれに勝る勇気で打ち勝つのだろう。

ヒーローは怪獣に勝てても甥には勝てない。

上手いこと持ち主の目を盗んだゼンマイ仕掛けの飛行機が
窓の隙間を摺り抜けて青白い空へと落ちてった。
何かの間違いで私の甥の手元にある本物の飛行機の中で
乗客たちだけが妙にリアルに現実を理解していた

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