傾いた背中の青年/
服部 剛
顔を上げて 前を見る
いつもと変わりばえのない
まばらな出勤者たちの行き交う空間の
向こうに伸びる薄汚れた床には
ほのかな光があちらこちらに浮かんでおり
下りの階段に示された
矢印の方向に引かれるように
くたびれたズボンの中で
光を帯び始めた足を
一歩 また 一歩 と前へ進めてゆく
駅の構内を出ると
外には只(ただ)
あまりに広い 今日の日の青い空
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