あった。/鳥憑
 
話したいことがたくさんあった。
話したいことが、たくさんあったんだ。
雪がいつかは溶けてしまうことすら
忘れてしまうほどに たくさん
話したいことがあったんだ。
どうすれば、この世界を愛せたのか。
カラスが 夕空を横切っている。
もう無限に飛んで行くのかと思わせるほどに
寄りそっていた。
ああならば、さびしくないね。
ああなることが、完成なのだろうね。
カラスは完成したのだ。
ただ一羽だけが、夕暮れのなか 太陽を
追いかけたまま 沈んでいったけれど、
カラスたちは幸福となった。
ただ一拍だけ 群れの動きを 忘れて 光の
光のほうへ 光が あると思われるほうへ
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