ゴミ/後期
すかな声で町の秘密を囁き合う。
ゴミは町の血管であり、骨格であり、臓器である。
人は見て見ぬふりをする。
踏めば音がする。
匂いを嗅げば記憶が蘇る。
忘れたつもりの過去、失ったつもりの人、閉じたつもりの悲しみ。
ゴミはそれらを無償で受け入れる。
朝が来れば、町はゴミと共に目を覚ます。
ゴミは掻き集められ、町の煙突の元で焼かれるが、完全には消せない。
消せば町も一緒に消えるからだ。
人々は知らず知らずのうちにゴミを愛している。
嫌悪の影で、いつもゴミを抱えている。
ゴミの匂いは生活に染み込み、ゴミの感触は生活の額に刻まれる。
町の人々の夢も、挫折も、屈辱も、すべてゴミに吸い取られ、溶け、また町に還る。
町のゴミは生き返る。
夜風に乗って、過去の声、忘れられた笑い声が、町の軋む骨を撫でる。
町の人々はそれを知らない。
ゴミと共に眠り、ゴミに抱かれ、ゴミと共に夢の中にいる。
ゴミの鼓動に、耳を澄ませ。
町の血は泥に溶け、骨は古布に絡み、
心臓は空き缶の中でコクコクと震える。
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