春一番になった鬼/
板谷みきょう
孫は、その花を踏まないように大きくまたぎ、
前を歩く人影を見つけました。
それは、昨日までみんなが目をそらし、
ひとり、うつむいて歩いていた子の背中でした。
孫は、何も言いませんでした。
「おはよう」とも「ごめん」とも言わず、
ただ、その子の隣に並んで歩き始めました。
屏風山から、穏やかな風が吹いてきました。
二人の影が、ひとつになって、まっすぐに伸びていました。
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