咲子?/たま
だから、もうこの世にはないものとか、自分の手にとどかなくなったものをおもうこころで、愛の愛しむは、まだこの世にあって、手のとどくものをおもうこころ……なんだと、あたしはおもうの」
「ん……まだ、この世にあるものと、ないもののちがい……なの? なんかさあ、それってビミョウだな」
「そうかなあ、惜しまれて亡くなるひとと、愛されて亡くなるひとのちがいってあるじゃない? 惜しまれて亡くなったひとのことは、忘れて生きることもできるけど、愛するひとが亡くなったら、一生忘れることができなくてさ……愛はね、いつまでも手放すことができずに、この手に持っていたい気持ちのことだから、あたしね、愛されて亡くなるひとは
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