咲子?/たま
窓口の前にならぶ年季の入った木机の上で記入することになるが、それにしてもこの駅舎の、歳月と疲労が沈殿した雰囲気は、わたしの親たちが謳歌した昭和の残滓だろうか。
夜の街をひとり歩いて、この駅舎にたどり着いたわたしが流されて行く先に、どのような島が浮かぶのだろうか。ひょっとして、昭和のかたちしたままの遊園地が、いまも黒潮の海に点在し、このわたしを誘うかもしれない。それは夜の海にありがちな、時空にさ迷う幻想とはいえない気がした。
東京湾のいちばん奥深いところにあるこの竹芝桟橋から、東京〜大島〜神津島航路や、東京〜三宅〜八丈島航路などを利用して、伊豆七島や八丈島に渉ることができた。
午後一
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