咲子?/たま
咲子(七)
心部(こころ)
▽「心」をもとにしてできていて、「精神作用」に関係する文字を集めた。漢字の偏になるときは「?(りっしんべん)」、脚の部分になるときは「 (したごころ)」の形になる。
二月だった。
咲子が上京してもうすぐ一年になる。六月の隅田川でくちづけを交わして、咲子とわたしの間にあわい愛が芽生えた。うすい黄緑の双葉でしかなかったふたりの愛は、下井草のアパートで暮らしはじめると、たしかな葉脈を持つあおい若葉に成長した。凍てつく東京の空も街並みも、ふたりの愛を育むひかりに満ちていた。
咲子は毎月の少ない給与をはたいて、炊飯器や湯沸かしポットといった家電や
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