谷間にとじる鼓動の傘をおいかけて ―なくしたものと出会える町で―/菊西 夕座
オウムの鳥かごで言語化していたし、
瀬戸物屋の骨董品には魔法で壺にかえられた王太子と王太子妃がまぎれこんでいたし、
おもちゃ屋の仮面をとらない子どもは、飴に化けた母親と虫歯で和解して仮面をとかしていた。
きえたページ、はぐれた夫妻、すれちがう母子、それらを縫合するたびに少女は町に感謝されていた。
むすびつきが強くなるたびに町で素敵な色をみた、<六月の風の色。十一月の海の色。
だんろの中のほのおの色。西にしずむ太陽の色。山の湖の色。>
少女はいう、<西にしずむ太陽の色、大すき。もえているようでいて、どこかさびしげで。>
いつのまにか私は西にしずむ太陽の色だった。読んでほしいとい
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