咲子?/たま
でも追いかけていたが、わたしは咲子のその視線を、追いかけていたのだとおもう。
「ね、どうして東京のカモメは、あんなにたかく飛ぶの?」
「え?……ん、どうしてかなあ……」
咲子のふるさとのカモメはあんなにたかくは飛ばない……と、いうことだろうか。咲子のふるさとに海はあって、その海の波のたかさにカモメは棲みついていたのだろうか。
「ね、海はちかいの?」
「うん、たぶん、ちかいとおもう……」
それは嘘ではなかったはずだ。対岸の地名はおそらく佃島だし、足もとを見れば、遊覧船が通るたび歩道のあちこちでタイルが濡れた。きっと、汐が満ちてきているのだと、海には縁のないわたしであっても、おもいつく
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