咲子?/たま
わたしは咲子の放つイメージの着地点を、みごとにたぐり寄せることになるが、それはたぶん、ビギナーズラックというやつだったかもしれない。
一時すぎに東京駅には着いたけれど、バスターミナルがどこにあるのかがわからない。それでなんとなく丸の内の中央出口を出て、日本人であればだれもが見覚えのある、赤い煉瓦造りの駅舎を見ることになる。
「あー、ここ!……あたし、これが見たかったの!」
上京しても東京駅は乗り継ぎばかりで、駅の外に出たことがなかったのだという。
「ね、写真撮って……」
咲子は水玉模様のビニール製の手提げカバンから、ターコイズブルーのケイタイを取り出してカメラモードにした。赤い駅舎を
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