ショウヘイ/後期
 
今村昌平は、人間を撮っていた。
いや、撮っているというより、そこに居座っていると言った方が近い。カメラは回っているのだが、回っていることを主張しない。ただ、人と同じ重さで、その場にある。今村の撮り方は、いやにねちっこい。
人が失敗する瞬間を待ち、人が言い訳をしない時間を待ち、人が自分のだらしなさに気づかない瞬間を待つ。急がない。促さない。編集のことなど、考えていないように見える。
生活の中の人間は、ときどき落ち着かなくなる。
「こんなところ、撮って何になるんですか」と言いたげな顔をする。だが今村は答えない。ただ、カメラを下げない。その沈黙が、相手を少しずつ疲れさせる。
やがて、その人は元
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