奔別/伊藤透雪
 
漕いで漕いで。ブランコで妹と二人きゃあきゃあ言っている。
高いとこまで漕ぐよ。姉妹で遊んでいた山里の小さな公園の遊具は、
ブランコと滑り台だけ。
公園は枯れた草でぼうぼうになっている。

初夏、庭に群生している鈴蘭がその強い芳香を広げ始めた。
廃校のグラウンドでフランス菊の株が群れになっていて、
モンシロチョウが舞っている。
妹と二人で、隣家の塀に絡ませたグースベリーをこっそり食べた。
まだ酷く酸っぱい。カリンズも酸っぱかった。
廃屋の庭まで行くと、小さな苺が成っていた。
少しだけ甘い。

真夏の山は蒸し暑く、熊笹が所々枯れている。若い葉を抜いて
ブーと鳴らしたり、ポプ
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