咲子?/たま
らめ合った。こたつに入ると落ち着くのだという咲子は、こたつの上に漢和辞典と、リングが背についたノートをひらいて置いた。わたしは十二インチのノートブックを置いて、ふたりは向かい合って座った。まるでふたりして受験勉強をしているみたいで、静かな夜は、新婚さんらしくはなかったけれど、咲子もわたしもそれを好んでいた。
「ねえ、リクオさん……」
「なに?」
「どうしてくちへんだかわかる?」
漢和辞典を手にした咲子の、なぞなぞのような問いかけだった。
「……くちへん?」
「うん、あたしのこと……」
咲子という名は、花が咲くという、うつくしいイメージを持つことはわかるけれど、花が咲くことのど
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