咲子?/たま
校に二年通ったわたしが、東京の印刷会社に就職したとき、背のたかいわたしのために両親が買い与えてくれたものだった。小柄な咲子とふたり肩を寄せ合えば、さほどせまくもなく、どちらかといえばちょうど良いひろさだった。
キッチンは畳一畳ほどの板間で、冷蔵庫とガスコンロはあったが、あとは湯沸かし用の手鍋と、いつ使ったかわからないフライパンとか、タイマーの壊れたトースターとか、食べることに無頓着なわたしは、ほとんど自炊なんてしていなかった。
「ねえ、リクオさん。炊飯器ほしいね」
「……炊飯器?」
「あたし、夜は炊きたてのあったかいごはん食べたいし、お弁当もつくりたいの」
「弁当? お昼の?」
「う
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