満月と子泣き爺/洗貝新
 

お月さんよう
なあに
奥歯なんて抜くんじゃなかったよう
なんで
まだ痛むんだよ
それで
子泣き爺だよう
なにそれ
泣かないよ痛みくらい
えらいわね
泣かないよう悪口にも
強いわね
泣くんだよテレビ見ては
家は破壊された
電気も止められた
飲み水も
パンもない
地獄の苦しみだから
この寒空の、ウクライナ、やあミャンマ、ガザ、
もっと辛い、耐えている、
涙を誘われる
泣けてくるんだよう
子供たちの無邪気な笑顔に
それに比べれば傷口の痛みくらい
あの苦しみに比べたら
きみの善意を知らない悪口くらい
なんてことはないのだ
もう、わたしに向かって向かっても泣いていいのよ
ほら、満月だから温めてあげるから
子泣き爺かるいし
アクアポリスの舞台の上
灯りを独占する円
 泣いたからすがもうわろた
一人照らされて
飼い猫は見ていた
みんな痛みから解放されて
四角い二角が
円くなる
なあ、
マルクスさんよう
                完






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